蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
対馬産ミスジチョウとスジグロシロチョウ
高橋 昭
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1977 年 28 巻 2 号 p. 65-68

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抄録

対馬は朝鮮半島と九州本島との間に位置し,生物地理学上興味深い問題を多くもった離島である.対馬下島(長崎県上県郡,435km^2)と上島(長崎県下県郡,247km^2)およびその属島とからなり,上島と下島を合わせると682km^2に達し,南千島を除けば,沖縄本島,佐渡島,奄美大島に次ぐ本邦第4位の面積をもっている.島全体が隆起準平原で矢立山649mを最高峰とする山頂部は比較的平坦であるが,山腹は険しく,谷が発達し,島全体森林におおわれて耕作地は乏しく,従って蝶相も離島としては豊富で変化に富んでいる.対馬の蝶には,ツシマウラボシシジミが特産種として有名であるほか,ウラナミジャノメを始めとして特異な亜種や亜種化が進んでいる種がある.また,日本には本島のみ土着が知られる夕イワンモンシロチョウを産し,Pieris属の分布や生態においても興味深い土地である.筆者は,1973年に対馬から2頭目のミスジチョウの個体を,また11頭目と思われるスジグロシロチョウを採集しているので,ここに報告する.

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© 1977 日本鱗翅学会
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