蝶と蛾
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2新種を含むインドネシアのEctropis属(シャクガ科,エダシャク亜科)
佐藤 力夫
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2007 年 58 巻 2 号 p. 205-214

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抄録
Ectropis属は広汎な分布域を持つ大属で,世界のシャクガのカタログ(Parsons et al., 1999)には,およそ100棟が登載されている.しかし複式種E. crepuscularia ([Denis & Schiffermuller])フトフタオビエダシャクとその近縁種とは明らかに異質な種もかなり含まれており,分類学的な再検討が必要である.私は,これまでに日本,台湾,フィリピンのEctropisについて報告してきたが,本性では,インドネシアの材料について再検討した.その結果次の8種を認め,うち2種を新種として記載した. E. bhurmitra (Walker).広く分布. E. floresensis Sato(新種). Flores Is.に固有と思われる. E. longiscapia Prout. Borneo以外からは得られていない. E. suscepteria (Walker). Javaから1♀で記載された種.Sumatra, P. Malaysia, Thailand, Vietnamから初めて記録した.♂とその交尾器を初めて図示. E. pais Prout. Sumatra, P. Malaysia, Mindanaoに分布. E. ischandelpha Prout. 私(Sato, 1992)がpaisのシノニムにしたが,ホロタイプ(♂)の交尾器を初めて確認し間違いであることが分かった. E. herbuloti Sato(新種). Sumatra以外からは得られていない.2006年1月に97歳で亡くなられたシャクガの研究者フランスのDr Claude Herbulotに献名した. E. brooksi Holloway. ♀交尾器を初めて固示した.
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© 2007 日本鱗翅学会
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