蝶と蛾
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Archinemapogon bacurianus (鱗翅目,ヒロズコガ科) の日本からの新記録および雌交尾器の記載
長田 庸平宮本 泰行坂井 誠広渡 俊哉
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2016 年 67 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

Nemapogoninae 亜科のArchinemapogon 属は旧北区のヨーロッパやロシアおよび新北区のアメリカ大陸などで 9 種が知られ,サルノコシカケ科のキノコ類より幼虫が得られていたが,日本からは未記録であった.筆者らは北海道でツリガネタタケ(サルノコシカケ科)より Archinemapogon bacurianus Zagulajev, 1962 を確認し,雌交尾器を初めて図示した.

Archinemapogon bacurianus Zagulajev, 1962 スジモンコクガ(新称)

開張 14.0-21.0mm.前翅の地色はクリーム色で,前縁に 4 ~5 の暗褐色の斑紋,中央部と後方部に暗褐色の帯状の斑紋をもつ.雄交尾器では,ビンクルムは上方が広く下方が狭く,グナトスは先端が尖り,ウンクスは分岐し先端は円錐状で,サックスは細く長く,バルバの後方には太い指状突起を有し,ユクスタは1 対,ファルスの先端付近に長い突起を有す.雌交尾器では,ラメラ・アンテバギナリスは後方にやや突出し,交尾口の後方に1 対の多数の毛の生えた突起を有し,アントルムは発達し,ドゥクツス・ブルサエはアポフィシス・アンテリオリスの約 2 倍で,コルプス・ブルサエにシグナを欠く.

分布:日本(北海道)(新記録),コーカサス

寄主:ツリガネタケ(サルノコシカケ科)

Archinemapogon 属は,近縁のNemepogon 属に比べて雄交尾器のバルバの指状突起が太く,ファルスの suprazonal sheath に長い突起を有す.雌交尾器の産卵口の開口部に毛の生えた1 対の突起を有し,アントルムが比較的発達している.また,雄交尾器のファルスの subzonal sheath は2つの部分に分かれ,後方部は硬化がやや弱くて可動である点は,Nemepogon 属と共通しており両属の近縁性が示唆されるが,今後のさらなる研究が必要である.

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© 2016 日本鱗翅学会
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