2025 年 76 巻 2 号 p. 81-85
東南アジアの熱帯地域に生息するトウダイグサ科オオバギ属にはアリとの共生関係を持つアリ植物種が含まれており,それらのアリ植物は植食者に対する防衛をアリに依存している.これまでに種名不詳のハマキガ科の幼虫がオオバギ属の植物の葉を摂食していたという記録はあるが,ハマキガ科のどのような種がどのようなオオバギ種を利用していたかは報告されていない.我々は,ボルネオ島のマレーシア国サラワク州にあるランビルヒルズ国立公園内において,ハマキガ科の2種の幼虫がオオバギ属のアリ植物種を寄主植物として利用していたことを確認したので,ここに報告する.Gatesclarkeana idiaの幼虫1個体がアリ植物種のMacaranga bancanaの花序上で発見され,その花序を餌として飼育された結果,成虫に達した.また,Homona coffeariaの幼虫1個体が別のアリ植物種のMacaranga beccarianaの実験的に共生アリが除去された個体の葉上で発見され,飼育条件下で成虫に達した.