2011 年 13 巻 p. 125-145
本研究は、英語コミュニケーションの授業において、海外の大学生とビデオ付きウェブ・チャット・ソフトを使って交流を図った場合(VWCセッション)と交換留学生を教室に招いて交流した場合(ISEセッション)に、異文化間コミュニケーション能力(「異なる社会的アイデンティティを持った人々による共通理解を確保する能カ」及び「複数のアイデンティティと独自の個性をもった複雑な人間としての人々と交流する能力」)の5つの成分(1態度、2知識、3解釈能力、4発見・交流能力、5批判的文化意識)(Byramほか2002 12-13)の伸長にどのような効果がみられるのかについて調査を行った。マレーシア人大学生10名、交換留学生15名、上級レベルの日本人EFL学習者24名が参加した。ICCの1と2の成分については収集したデータを量的・質的に分析し、3~5の成分については質的に分析された。その結果、どちらのセッションも1~4の伸長にある程度の効果がみられたが5の成分については明確な証拠は得られなかった。またVWCに比べてISEでは情意面での影響がより多く見られた。