哺乳類科学
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原著論文
大阪の温帯林における首輪型GPS受信装置の有効性
大谷 新太郎川井 裕史石塚 譲石井 亘八丈 幸太郎片山 敦司松下 美郎
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2005 年 45 巻 1 号 p. 35-42

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抄録
温帯林で覆われた大阪北部のニホンジカ (Cervus nippon) 生息地において, 首輪型GPS (Global Positioning System) 受信装置による測位成功率を検討した. 調査対象地において典型的な植生 (若齢ヒノキ林, アカマツ林, 落葉広葉樹林, 水田) を対象に16地点で測位を試みた結果, 開空度が10%を超えた若齢ヒノキ林, アカマツ林, 落葉広葉樹林および水田では測位に成功し, 精度低下率 (dilution of precision) はいずれの地点においても5以下であった. 開空度が平均6.3%のヒノキ林および常緑広葉樹下では測位できなかった. ニホンジカ雌2頭に, 3時間ごとに測位するように設定した首輪型GPS受信装置を装着し, それぞれ392日後と372日後に装置を回収した. 測位成功率はそれぞれ26.9% (846/3141回, 測位成功数/総測位実施数) および20.7% (618/2989回) であった. 測位成功率は夏期に低下したが, 精度低下率に季節差は認められなかった. 測位できた地点の植生は, ヒノキ林 (若齢), アカマツ跡広葉樹林, 落葉広葉樹林および水田で, 植生による精度低下率の差は認められなかった.
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© 2005 日本哺乳類学会
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