哺乳類科学
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短報
秩父山地雲取山におけるスミスネズミの繁殖活動
立石 隆
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2008 年 48 巻 2 号 p. 271-276

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抄録

本州東部に位置する秩父山地雲取山の標高1,000~2,000 mの森林内で捕獲されたスミスネズミの繁殖活動について検討した.調査は1981年4月から1986年10月まで行った.用いた標本は雄48頭および雌46頭であった.生殖器の発達状態から雌雄ともに体重17.1 g以上の個体を成体とみなした.雄成体の71.0%(31頭/48頭)および雌成体の56.7%(30頭/46頭)は繁殖活動中であった.哺乳中でなおかつ妊娠中の個体が観察されたため,同じ繁殖期中における複数回の妊娠が確認できた.妊娠雌の平均胎仔数は2.13であった.繁殖活動個体の捕獲時期,哺乳個体および幼体の母親の推定交尾日などから,本調査地においてスミスネズミが確実に繁殖活動を行った時期は3月から9月までであると考えられた.

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© 2008 日本哺乳類学会
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