哺乳類科学
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短報
携帯電話GPS端末を利用したアライグマの行動追跡の実用性について
山﨑 晃司佐伯 緑
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2012 年 52 巻 1 号 p. 47-54

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抄録

GPS機能付き携帯電話(FOMA)端末に増設バッテリーパックを接続した上で首輪ベルトに包埋を行い,定置試験と共に,アライグマ野生個体への装着を行った.首輪システムの総重量は215 gで,VHF発信器を加えた場合のシステム総重量は300 gであった.定置試験(n=3)での測位データ送信のための通信成功率は99.5~100%で,測位誤差は12.0~16.5 mであった.野生個体への装着例(n=7)では,電池充電が適正に行われた場合の平均稼働日数で25.3日間であったが,計算上より短かった.通信成功率は夜間(59.9%)と日中(38.0%)で有意に差があった.夜行性のアライグマは,昼間は遮蔽物(樹洞,土穴,人家屋根裏)で休むため,通信圏外の状態になる割合が高くなることが考えられた.ただし夜間でも,通信成功率は定置試験に比較して低かった.アライグマ首高の地表付近では,携帯通信網の電波状態が安定しない可能性が考えられた.

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© 2012 日本哺乳類学会
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