哺乳類科学
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短報
山形県で確認されたニホンジカ(Cervus nippon)の出自 ―ミトコンドリアDNA多型に基づく推定―
佐藤 真中村 一寛玉手 英利門脇 正史遠藤 好和高槻 成紀
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2013 年 53 巻 1 号 p. 131-137

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抄録

山形県のニホンジカ地域個体群は20世紀前半に一時絶滅したと考えられているが,2009年以降,県内でニホンジカが再び目撃されるようになった.山形県で散発的に出没するニホンジカの出自を明らかにする目的で,県内の村山市,鶴岡市,小国町で交通事故死したニホンジカ4個体のミトコンドリアDNA調節領域の遺伝子分析を行った.その結果,1個体の遺伝子型(ハプロタイプ)が北上山地の地域個体群でみられる遺伝子型と一致した.一方,他の3個体の遺伝子型は,北関東以西の地域個体群で報告された遺伝子型と系統的に近縁であることがわかった.以上から,山形県のニホンジカは,少なくとも南北2つの地域から,別々に進出している可能性が示された.

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© 2013 日本哺乳類学会
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