哺乳類科学
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原著論文
餌付け罠の捕獲効率向上を目的とした事業の評価
上田 剛平阿部 豪坂田 宏志
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2013 年 53 巻 1 号 p. 31-42

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抄録
兵庫県但馬地域では,野生鳥獣による農林業被害の軽減のため,集落住民の協力により餌付け罠を用いた捕獲が行われている.しかし,集落が取り組む餌付け罠の捕獲効率は低く,その向上が課題となっている.そこで兵庫県但馬県民局は,兵庫県森林動物研究センターと連携し,餌付け罠の捕獲効率を向上させるため,「シカ箱わな・囲いわな大量捕獲大作戦」という事業を立ち上げた.大作戦では,餌付け罠の捕獲技術と捕獲体制の整備に関する研修や指導を行った.本研究では,大作戦の事業評価を行い,事業効果と改善点について考察した.
事業評価は,政策評価の理論を用い,セオリー評価,プロセス評価,インパクト評価を実施した.セオリー評価では,2つの事前調査結果から,事業の目標設定,事業内容とスキームの検討,事業実施の結果と得られる成果の因果関係の明示を行った.プロセス評価では,2つの事中調査結果と1つの事後調査結果から,実施された事業が計画通りの量と質を提供したかを評価した.インパクト評価では,事後調査結果から大作戦に参加した集落と参加しなかった集落のシカの捕獲効率の違いを分析した.
評価の結果,計画どおりの事業が実施され,参加者は指導した捕獲技術を概ね実践していたことが分かった.捕獲技術の実践レベルが高いほどシカの捕獲効率は向上していたが,捕獲体制の整備に対する効果は小さかった.大作戦に参加した集落は,参加しなかった集落と比べてシカの捕獲効率が1.5倍高かった.
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© 2013 日本哺乳類学会
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