哺乳類科学
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三河湾におけるスナメリ(Neophocaena phocaenoides)の漂着ならびに混獲に関する記録
栗原 望大池 辰也川田 伸一郎子安 和弘織田 銑一
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2013 年 53 巻 1 号 p. 99-106

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抄録

三河湾で漂着あるいは混獲した44個体のスナメリについて,体長,性別,漂着時期,漂着場所を調べ,既往知見とあわせ三河湾産本種の生活史や漂着の特徴を整理・分析した.三河湾産本種の出産期は隣接する伊勢湾と同様の4~6月頃,出生体長は80 cm前後であると考えられた.雌雄の漂着数は,体長120 cm未満の幼獣ではほぼ等しかったが,より大型の個体ではオスに偏り,オスの数がメスの1.6倍以上となった.漂着数は4~6月および10~12月に増加した.80 cm前後の幼獣は4~6月に集中して漂着し,100~140 cmの個体は10~12月にその大半が漂着した.漂着場所も季節的に変化した.春から秋にかけては湾全域で漂着が認められたが,冬季には湾奥での漂着が極めて少なかった.

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© 2013 日本哺乳類学会
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