哺乳類科学
Online ISSN : 1881-526X
Print ISSN : 0385-437X
ISSN-L : 0385-437X
短報
リュウキュウテングコウモリMurina ryukyuanaによる日中ねぐらとしての枯葉の利用
亘 悠哉船越 公威
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 53 巻 2 号 p. 331-334

詳細
抄録

リュウキュウテングコウモリMurina ryukyuanaによる日中ねぐらとしての枯葉の利用を徳之島において3例記録した.これにより,これまでにほとんど情報のなかった本種の自然条件下でのねぐら利用の一端が明らかになった.利用していた枯葉の樹種は,イイギリIdesia polycarpa,アオバノキSymplocos cochinchinensis,フカノキSchefflera heptaphyllaであり,これらに共通する特徴として,1枚1枚の葉が大きく,枯れると椀状に変形すること,また葉のつき方が放射状で,枝折れにより枝先の葉が枯れると複数の葉が合わさって群葉状になるという点が挙げられた.同属のコテングコウモリで記録されている幅広い日中ねぐら場所の利用形態を考慮すると,本種も枯葉以外の様々なタイプのねぐらを利用している可能性は十分に考えられる.今後,今回のような観察情報を蓄積することともに,行動の追跡調査などを進めることで,本種のねぐら利用の全体像の把握につながるであろう.

著者関連情報
© 2013 日本哺乳類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top