哺乳類科学
Online ISSN : 1881-526X
Print ISSN : 0385-437X
ISSN-L : 0385-437X
特集 やんばる国立公園・奄美群島国立公園指定記念:中琉球の哺乳類の生態,行動,保全
沖縄島における絶滅危惧種ケナガネズミのロードキル発生リスクマップの作製および対策への提言
玉那覇 彰子向 真一郎吉永 大夢半田 瞳金城 貴也中谷 裕美子仲地 学金城 道男長嶺 隆中田 勝士山本 以智人亘 悠哉
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 57 巻 2 号 p. 203-209

詳細
抄録

沖縄島北部地域(やんばる地域)を東西に横断する県道2号線および県道70号線の一部区間は,希少な動物の生息地を通過する生活道路となっており,ロードキルの発生が問題となっている.この県道を調査ルートとして,2011年5月から2017年4月までの6年間,ほぼ毎日,絶滅危惧種のケナガネズミDiplothrix legataのルートセンサスを行い,生体や死体の発見場所を記録した.6年間の調査において,ケナガネズミの生体75件,ロードキル個体47件の合計122件の目撃位置情報を取得した.その記録に基づき,ヒートマップを利用して調査ルートにおけるケナガネズミのロードキル発生のリスクを表現することで,リスクマップを作製した.また,生体とロードキル個体の発見数からロードキル率を算出し,現在設定されているケナガネズミ交通事故防止重点区間(以下,重点区間とする)におけるロードキルの発生状況を評価した.リスクマップと重点区間を照合すると,交通事故リスクの高いエリアのいくつかが,重点区間の範囲外にあることが明らかになった.また,重点区間のロードキル率は他の区間と同様のレベルであった.本研究で提示したリスクマップやケナガネズミの行動記録を活用することで,より現実の状況に即した取り組みの展開が可能になると期待される.

著者関連情報
© 2017 日本哺乳類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top