2021 年 61 巻 1 号 p. 13-22
これまで四国のタヌキNyctereutes procyonoidesの食性は情報がなかったが,高知県と周辺から得た67例の胃内容物をポイント枠法で分析した.ほかの場所と比べると昆虫が多く(全体の占有率25.7%),特に冬でも25.8%を占めた.果実は重要であったが,他の場所に比べれば少なく,最大で秋の30.4%であった.カタツムリ(ウスカワマイマイAcusta despecta)が春(19.3%)を中心に多かったことと,春にコメを主体とした作物が25.0%と多かった点は特異であった.