2008 年 30 巻 3 号 p. 484-489
脳卒中の実態調査を行い,脳出血の発症率,危険因子の有病率等を検討した.対象は02年7月より06年6月までに道北脳卒中共同研究に登録された脳卒中患者1,046名中の脳出血患者271名.結果は,平均年齢は70.3±11.7歳,男女比は154/117,入院時平均NIHSSは11.8±8.1,3カ月死亡率は19.2%,3カ月の自立率(mRS:≤2)は32.5%であった.高血圧の既往は72.3%で,未治療が13.7%であった.MRI(T2*)で67.5%に出血部以外に微小出血を認めた.47例(17%)では抗血小板薬を服用しており,死亡率では,服用群,非服用群で有意差を認めなかったが,3カ月の自立率では,服用群19.1%に対し非服用群37.3%と,服用群が有意に転帰不良であった.北海道北部では脳出血が未だ高い比率を示し,高血圧のコントロール不良と未治療が30%を占めていることより,住民への啓蒙に加え医師への厳格な血圧管理の重要性の喚起も必要と考えられた.