2015 年 34 巻 3 号 p. 83-98
解釈レベル理論では,「今ここにいる自分」と出来事との心理的距離によって出来事の解釈の具体/抽象レベルが変わると想定されており,消費者行動研究をはじめとした多くの研究において解釈レベルの違いが後続の評価や態度,行動に影響することが示されてきた。
本稿では消費者行動分野における解釈レベル理論研究の動向をレビューしたうえで,多くの消費者行動研究で扱われてきた,個人のある時点の「状態」としての解釈レベルではなく,個人の持続的「特性」としての解釈レベルにも焦点を当てていく必要性を議論する。特に,異なる社会的カテゴリ間における解釈レベルの違いを検討する際に「特性」としての解釈レベルを考慮に入れることの重要性や必要性を指摘する。