マーケティングジャーナル
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最新号
ビジネスモデルとマーケティング
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
特集論文 / 招待査読論文
  • ― 行動変容に結びつかないイノベーションは自己満足に過ぎない ―
    内田 和成
    2022 年 41 巻 4 号 p. 6-17
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    レッドブルが真似から生まれたり,Skypeより後発のZOOMがオンライン会議システムの勝者になったのを見れば分かるように斬新なアイデアを繰り出せばビジネスの成功者になれるわけではない。また宅急便やセコムの機械警備のように経営者のひらめきから生まれたビジネスは多い。つまり直感である。本稿ではビジネスモデル形成における直感(右脳)の役割と方法論を語っている。例えば現象から物事の本質を見抜いたり,ビジネスのヒントを見いだす方法である。一方でイノベーションにとって重要なことは作り上げたビジネスモデルを通じて顧客や社会の行動変容を起こすことであり,それが達成できないイノベーションは持続的なビジネスモデルとは言えない。

  • ― 価値獲得を起点とした変革 ―
    川上 昌直
    2022 年 41 巻 4 号 p. 18-28
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    ビジネスモデルの主たるテーマは,価値創造と価値獲得の融合によって「顧客が喜び,企業が儲ける仕組み」を作り出すことである。これまでビジネスモデルは,顧客価値の創造に偏った議論を展開してきた。それは事業構築にじっくり時間をかけられる平時には有益であった。しかし,デジタルの興隆や,コロナ禍による消費マインドの変化など,事業環境の激変下においては,なんとしてでも利益を獲得するという視点が欠かせない。このような状況では,なにはさておき価値獲得に主軸を置くことが有効である。劇的な成果を生む企業は,価値創造のみならず価値獲得のイノベーションも重視しているのだ。本稿では,ビジネスモデル・イノベーションを実現するうえで,価値獲得こそが重要な役割を担っていることを示す。そして,価値獲得の変革が,価値創造を変えるきっかけとなって,結果として革新的なビジネスモデルが生まれることを明らかにする。

  • ― 価値の創造と獲得の整合性 ―
    井上 達彦, 鄭 雅方, 坂井 貴之, 楊 稼怡
    2022 年 41 巻 4 号 p. 29-41
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    ビジネスモデルというのは儲けの仕組みであり,その本質は「価値の創造と価値の獲得」にある。価値の創造と獲得についてはマーケティングでも早くから注目されており,価値創造については顧客との相互作用の視点,価値獲得については価格づけの視点でそれぞれ検討されてきた。しかし,価格づけにおいて「収益モデル」自体を見直すという発想には至らなかったし,価値創造と獲得の視点が統合されることもなかった。そこで本稿では,収益モデルや価値創造の方法に注目する。顧客との活発な相互作用によって価値創造をしている中国のショートムービーアプリを分析することで,価値創造と獲得の整合性と,マーケティング研究におけるビジネスモデル概念の意義を探る。

  • ― 起業家の意思決定モデルを集団の意思決定フレームワークへと接続する試み ―
    宮井 弘之
    2022 年 41 巻 4 号 p. 42-52
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    本研究では,エフェクチュエーション研究とビジネスモデル研究を体系的に関連づけ,マーケティング・インプリケーションの導出につながる視角の提案を目的とし,両研究の接続可能性を検討した。特に,企業のビジネスプロセスとシステムの階層に着眼することで両研究の接続可能性を検討できることを示した。実践型研究から得られた3人の起業家へのインタビューを用いて,起業家個人のエフェクチュエーションによる意思決定を,「バリュープロポジション,ピヴォット,プロダクトマーケットフィット」などのビジネスモデル研究やビジネスモデル開発実務で利用されているフレームワークと対応付けて整理し,企業内の個人によるエフェクチュエーションによる意思決定を集団による意思決定へと接続できる可能性を示した。

  • ― 過程追跡法による事例内因果分析と質的比較分析 ―
    横山 斉理, 東 伸一
    2022 年 41 巻 4 号 p. 53-64
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    競争の多様化に伴い小売ビジネスモデル研究の重要性が増している一方で,経験的研究は相対的に蓄積が遅れている。本稿はこの理由を考察した上で,ビジネスモデルを学術的に議論するのに適した分析アプローチとして,過程追跡法(Process Tracing Method)に基づく事例内因果分析(Within-case Causal Analysis)と質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis)を紹介した上で,両アプローチがどのような点でビジネスモデルの経験的研究をブレークスルーできるのかを議論する。

レビュー論文 / 招待査読論文
  • 小野 雅琴
    2022 年 41 巻 4 号 p. 65-70
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    「制御焦点理論」は,近年,マーケティング・消費者行動研究の分野において,多くの応用研究が行われている理論である。本論は,制御焦点理論基盤型の広告研究を,3種類に分けてレビューする。すなわち,(1)広告メッセージのフレーミングに関する制御焦点研究,(2)広告メッセージの解釈レベルに関する制御焦点研究,および,(3)広告の非言語的構成要素に関する制御焦点研究である。そして,レビューの結果として浮上する今後の研究の方向性として,立ち遅れている広告の非言語的構成要素に関する制御焦点研究の推進が必要であること,さらには,こうした広告の非言語的構成要素は,文化的背景の影響を受ける傾向が強いため,異なる文化的背景を持つ消費者を対象とした比較研究が求められることを指摘する。

  • 渡邉 裕也
    2022 年 41 巻 4 号 p. 71-79
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    メーカーではなくユーザーとして商業的に魅力的なイノベーションを起こすリードユーザーの存在が明らかになっているが,一般的にリードユーザーは企業外に存在するために,企業が継続的に活用することが難しい。一方では,企業内に自社が提供する製品やサービスのカテゴリーにおけるリードユーザーが存在することが明らかになっている。こうしたリードユーザーは,「企業内リードユーザー」(lead users inside the firm)とも呼ばれ,学術的に注目されている。本稿の目的は,企業内リードユーザーについて既存研究をレビューし,体系的に整理することである。レビューの結果,企業内リードユーザーがリードユーザーと従業員の二つの特徴を持つこと,企業内リードユーザーがアイデアの創造,アイデアの実行においてイノベーションに貢献していることが分かった。企業内リードユーザーの実態を明らかにすることは,リードユーザー研究を拡張するだけでなく,企業にとって自社の従業員を有効活用する上で貢献となるであろう。

投稿査読論文
  • ― 中国人来街者を事例として ―
    江上 美幸
    2022 年 41 巻 4 号 p. 80-92
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/03/12
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    本論文では,銀座や竹下通りといった外国人に対する著名地区ではなく,裏路地に極めて多くのインバウンド旅行者が回遊する裏原宿に着目し,その誘引性を考察した。結果は,裏原宿への最も多い来街者は中国からの旅行者であり,裏原宿独特のストリートファッションブランドに誘引されて訪れていることが分かった。また,これらのブランドは,近年まで日本のファッションの主軸として語られてきた百貨店やSCを中心に販売するブランド群とは異なるものであり,当該エリアならではのカルチャーを有するユニークなブランド,そしてオリジナリティーや希少性ある商品が評価され,推奨の対象となっていることが,Kotler5Aモデルを修正したカスタマージャーニーにより示された。

  • 奥谷 孝司
    2022 年 41 巻 4 号 p. 93-105
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
    [早期公開] 公開日: 2022/03/12
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    本稿の目的は,消費者によるオムニチャネル統合度(Omni-Channel Intensity;以下OCI)知覚が,オムニチャネル買物体験におけるモバイル・アプリケーション(以下モバイルアプリ)の利用および,購買意図とブランド推奨意図に与える影響を明らかにすることにある。オムニチャネル買物体験の知覚指標であるOCI(Huré, Picot-Coupey, & Ackermann, 2017)は,オムニチャネル・ショッパー(Omni-Channel Shopper;以下OCS)によるモバイルアプリ受容行動と購買意図に影響を与え,その体験がブランド推奨にも影響を及ぼすと考えられるが,この関係性に着目した研究は少ない。本研究は理論的枠組みとして技術受容モデルを採用し,因果モデルを提案した。アパレル企業におけるOCSを対象とした定量調査を行った結果,直接効果としてOCIの構成概念であるシームレスネスはモバイルアプリの利用容易性と購買意図に正の影響を与え,知覚された一貫性はモバイルアプリの利便性と利用容易性に正の影響を与えることが明らかになった。さらにこれらのOCI構成概念はモバイルアプリの利用容易性を媒介とした利便性への正の間接効果とともに,モバイルアプリの利便性を媒介としたブランド推奨意向への正の間接効果を持つことが明らかとなった。

マーケティングケース
  • ― 社内外の相互作用を創発する基盤の形成 ― ― 富士フイルム株式会社 ―
    宮脇 靖典, 小島 健嗣
    2022 年 41 巻 4 号 p. 106-115
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    環境変化への対応は,企業経営の永遠の課題である。本業消失の危機に瀕するほどの環境変化に直面した企業は,どのように対応すべきであろうか。この問いに対するひとつの答えを,富士フイルム株式会社において「第二の創業」と呼ばれる事業転換の試みにみることができる。同社はこの試みを通じ,専門分野の違いをこえて自社の強みを伝えることができる共通言語の重要性を認識し,自社社員から社外の法人顧客まで巻き込む相互作用の基盤づくりに注力した結果,Open Innovation Hubの開設にいたった。その試行錯誤のプロセスについては,バウンダリー・オブジェクトを生み出し進化させていくプロセスとしてみることができる一方,そのプロセスに少なからず影響を与えるバウンダリー・スパナーの存在がみられる。

  • ― メタバースの可能性 ―
    水越 康介
    2022 年 41 巻 4 号 p. 116-125
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/31
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    本稿では,アバターアプリ「ポケコロ」のサービス展開について,運営会社であるココネ株式会社の歴史とともに紹介する。インターネットの普及に合わせて注目されてきたアバターは,近年いよいよ充実したサービスを提供するようになっている。利用者からみても,アバターに対して課金し,着せ替えや模様替えを楽しむことはいまや当たり前の行動である。アバターアプリでは,ビジネスの仕組みとしてこうしたアイテムへの課金が重要になる。本稿では,デザイナーのチーム体制によるアイテム開発の仕組みとともに,利用者のコミュニケーションとアイテムの結びつきを確認する。こうしたアバターアプリの発展は,メタバースと呼ばれるようになった仮想空間の今後の可能性と強く結びついている。

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