抄録
本論文は,日本におけるオンライン対戦ゲームのコミュニティの経験的研究を通じて,現代のオンライン・ブランド・コミュニティが,人々のどのような創造的実践およびその相互作用によって成り立っているのかを検討する。近年,インターネットや情報技術の発展に伴って,オンライン空間における人々のコミュニケーション手段が多様化している。特に,新型コロナウイルスの流行で新たな消費者層がコミュニティに加わったゲーム産業では,このような傾向が顕著である。本論文はこのような現象に注目し,まず,実践,動機,活用可能な資源,役割といった点で特徴の異なる消費者の実践が,どのようなものであるかを記述する。そしてそのような異なるタイプの消費者の実践がコミュニティ活動全体にどのように影響しているのかの検討を通して,現代のオンライン・ブランド・コミュニティをどのように捉えるべきかについて議論する。