マーケティングレビュー
Online ISSN : 2435-0443
査読論文
患者・主介護者との強固な信頼関係構築のために医師に求められるコミュニケーションの考察
― 医師,患者・主介護者のマッチング ―
岩﨑 有美佐藤 善信
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2020 年 1 巻 1 号 p. 67-75

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Abstract

在宅医療は患者の人生を支える医療であり,医師に対する患者・主介護者の信頼は不可欠である。しかし,我が国の医学部教育では医師と患者との間のコミュニケーションは重視されておらず,臨床の場で初めて,患者・主介護者とのコミュニケーションの課題に直面する医師は多い。本研究では“ソーシャルスタイル理論”(Merrill & Reid, 1999)に着目し,患者・主介護者が「この医師に最期まで診てほしい」と認識するために必要な医師のコミュニケーション要件を明らかにした。分析の結果,医師が患者・主介護者から強固な信頼を得るには,(1)診療技術,(2)診療思考,(3)ヒューマンコミュニケーションのピラミッドの構築が必要であり,全体に対して(4)ソーシャルスタイルのマッチングという条件が影響することが明らかになった。中でも,医師と患者(主介護者)の関係における「ソーシャルスタイルのマッチング」で特に気を付けるべきは,ドライバー同士の組合せである。ドライバー同士は互いに会話の主導権を握ろうとするため,ハレーションが生じる可能性が高い。医師には,意識的に患者・主介護者のソーシャルスタイルのニーズに合わせて対応する「バーサティリティ」能力が必要とされるのである。

Translated Abstract

Home medical care is medical care that supports the lives of patients, and it requires a trust between the patients and their primary caregivers. However, communication between doctors and patients is not emphasized in the curriculum of Japanese medical schools. Thus, in clinical practice, many doctors face the problems of communication with patients and primary caregivers. In this study, we focused on “social style theory” (Merrill & Reid, 1999), and clarified the communication skills required of the doctors for patients and primary caregivers to be able to recognize that they want this doctor to continue to take care of them until the end of the patient’s life. As a result of the analysis, it became clear that in order for doctors to gain strong trust from the patients and primary caregivers, the doctors need to firstly construct a pyramid consisting of (1) medical technology, (2) medical thinking, and (3) human communication. The doctors also need (4) a social style matching the patient and primary caregivers, which affects the whole pyramid. Among them, the combination of drivers between doctor and patient (primary caregivers) should be especially noted in the “social style matching”. Since drivers try to take control of each other’s conversation, there is a high possibility that halation will occur. Doctors need “versatility” which allows them to consciously meet the social style needs of patients and primary caregivers.

I. テーマ選定の背景

在宅医療とは医療従事者が患家を定期的に訪問して療養管理を行うことであり,保険診療が適用される。1回の診察にかける時間は10~20分と外来診療に比べると長く,さらに,患者の生活スペースである自宅で診療を行うため,より密なコミュニケーションが求められる。

日本の人口は2010年をピークに減少しており,将来的に医療機関は過剰となり,競争が激化すると考えられる。そのため,「患者に選ばれ続ける医療機関づくり」が今後の課題になるであろう。

国はこれまで「かかりつけ医」の普及を推進してきた。しかし,日本医師会の調査によると,「かかりつけ医がいる」と答えた者の割合は53.7%(Japan Medical Association Research Institute, 2015)と,患者の医療機関が固定されていない状況が見られる。その要因として,日本の医療制度の特徴である「国民皆保険」と「フリーアクセス」があげられる。国民皆保険とは,全ての国民が公的医療保険制度に加入し,保険証1枚で一定の自己負担により必要な医療サービスを受けることができる仕組みのことを指す。またフリーアクセスとは,患者が受診する医療機関を自由に選べ,診療所から大学病院,専門病院まで,患者自身が望めばどこでも診てもらえる環境のことである(Ministry of Health, Labour and Welfare, 2011)。このように,日本国民には多くの医療機関の選択肢が与えられている。この環境下で自院が患者に選ばれ続ける医療機関となるには,医師は患者・主介護者との間に強固な信頼関係を築かなければならない。

自院(Y診療所)は京都市にある在宅療養支援診療所で,2019年8月11日時点で計16名の医師が所属している。患者の約8割が要介護者であり,患者だけでなく,主介護者とも医師のコミュニケーションが発生することが多い。Y診療所は開院以来,順調に患者数が推移している。しかし,「医師が気に入らない」という理由で患者がY診療所から別の医院に移ったケースがいくつか見られた。在宅患者には訪問看護師やケアマネジャーといった他事業所の多職種職員が介入していることが多く,患者や主介護者の医師に対する不満は地域に広がる恐れがある。Y診療所の診療において,具体的に下記のようなコミュニケーションの問題が生じた。

例えば,患者・主介護者からの医師に対するクレームとして次の3つが典型例である。「患者に向かって仁王立ちで喋るなんて偉そうだ。医師を変更してほしい。」「医師は話ばかりして何をしに来たのか。なぜ聴診器も当ててくれないのか。」あるいは「何を根拠に胃癌だと判断したのか。検査画像を元にした説明がないと納得できないじゃないか。」がそうである。

また,患者,主介護者,医師の三者間での意思疎通の齟齬もしばしば発生する。例えば,「検査をする,しないを巡って患者(妻)と主介護者(夫)の意見が食い違い,夫婦喧嘩が勃発。巻き込まれた医師が主介護者を叱りつけたため,口論がさらに炎上し,収拾がつかなくなった。」「医師の話そっちのけで,主介護者が患者に『ああしなさい』『こうしなさい』と指示している。」「腎疾患で療養管理中の患者に皮膚疾患が生じたため,総合内科医がフォローしようとしたところ,主介護者に『皮膚科に連れて行くので,あなたには診てもらわなくてよい』と断られた。」がそうである。

ここで注目すべきは,同じ医師でも患者が異なれば絶大な信頼を得ており,「先生に看取りまでお願いしたい」と言う患者もいることである。また医師を変えたところ,新しい担当医師に心を開いた患者・主介護者がいる。それから,医師が患者への接し方を改めたところ,信頼を寄せ始めた患者もいる。この現象に共通する要因は何であろうか。そこで以下では,患者・主介護者の信頼を得るために,特に医師に必要なコミュニケーション要件を明らかにする。

在宅医療は慢性疾患や末期がんの患者が対象であり,医師は「看取り」までを行う。治す医療ではなく,いわば,患者の人生を支える医療であり,患者・主介護者の医師に対する信頼が不可欠である。つまり,医師のコミュニケーション能力が最も重要となる医療である。

しかしながら,Y診療所の医師に聴く限り,大学の医学部で患者とのコミュニケーションを指導する教育はなく,また,医局における医師の評価も「患者からの信頼の厚さ」は重視されていないそうである。その結果,臨床の現場に出て初めて,患者・主介護者とのコミュニケーションの課題に直面する医師が多い。

また,医療機関の経営者は,診療報酬やスムーズな診療といった短期的利益を重視する傾向が強く,患者・主介護者からの口コミ効果といった長期的利益が軽視されがちである。「コミュニケーションは診療報酬の点数に含まれないから,頑張ってやるだけ無駄だ」という見解を述べる者もいる。彼らが理解していないのは,口コミによるパブリックリレーションズの効果である。ロイヤルカスタマーのような患者・主介護者がいる医療機関は,口コミの拡散により,地域に支持される医療機関になり得る可能性が十分にある。

本研究では,在宅医療における患者・主介護者と医師間の強固な信頼関係の形成プロセスをコミュニケーションの観点から明らかにし,今後の医療サービスの品質向上に資することを目的としている。以下,本稿において「強固な信頼」とは,患者・主介護者が「その医師に最期まで診てほしい」と認識することと定義する。次に,第II節では先行研究について概観する。その後,第III節においてはリサーチクエスチョンと調査方法が説明される。第IV節は,分析結果を示す。最後の第V節においては,本研究の結論と今後の研究課題が説明される。

II. 先行研究

本研究者は多くの文献を探索したが,医師と患者のコミュニケーションに関する先行研究は見つからなかった。そこで,(1)医師と患者の信頼関係,(2)専門職(プロフェッショナル)のあり方,(3)一般的な対人コミュニケーションをテーマにした先行研究を基に,本研究を進めることにした。

Nishigaki, Asai, Ohnishi, and Fukui(2004)は,医師に対する患者の信頼と不信の要因を分析している。この研究では,患者の医師に対する信頼関係構築には,医師の医学的な能力と,患者を一人の人間として尊重し真摯に向き合おうとする医師の姿勢とを切り離すことは難しく,医師に対する患者の感情的側面が重要な要因であることが明らかになっている。

Sheth and Sobel(2000/2009)の研究は,「選ばれる専門職(プロフェッショナル)に必要な要素」について次のように説明する。優れたプロフェッショナルは7つの核となる特質を身につけ,それらを統合している。彼らはその上で行動すべてに豊かさ,使命,自己再生の精神を吹き込む。これにより,専門職はクライアントとの幅広い持続的な関係を生み出せるようになる(図1)。

図1

選ばれるプロフェッショナルの構成要素

出所:Sheth and Sobel(2000/2009, p. 325)

本研究者はこの7つの核となる優れた特質を医師に置き換え,以下のように解釈した。①「無私と自立」,患者や主介護者,雇用先に対し,献身的でありながらも依存しない。②「共感力」,患者や主介護者の隠れたサインに気づく。③「ディープ・ジェネラリスト」,専門科領域以外にも広く深い知識を身につけている。④「統合力」,全体を見渡す大局的な視野を持っている。⑤「判断力」,患者や主介護者に対して健全な意思決定ができる。⑥「信念」,自分の価値観を知り,強く信じている。⑦「誠実さ」,患者や主介護者から自分たちの期待に応えてくれると信じられている。

本稿で中心となる先行研究は,アメリカの産業心理学者Merrillが1968年に提唱したソーシャルスタイル理論である。それによると,対人行動において人間のコミュニケーションタイプは4つのスタイルに分類される。同属のスタイルは相性が良いとされ,異なるスタイルであっても,相手のスタイルを知り,コミュニケーションを工夫することで対人スキルが増すとされる(Bolton & Bolton, 1984; Merrill & Reid, 1999)。

それぞれのスタイルのキーワードは次のようになっている。まず,アナリティカルは「論理的」「几帳面」「神経質」「規則正しい」「用心深い」。次に,エイミアブルは「協力的」「サポート」「お世辞上手」「忍耐強い」「忠誠心がある」。そして,エクスプレッシブは「社交的」「熱狂的」「説得上手」「楽しいこと好き」「自発的」。最後に,ドライバーは「依存しない」「率直」「決断力がある」「実用的」「効率的」である。

これらの性質を基に,患者,もしくは主介護者のソーシャルスタイル別の特徴を仮説的に整理した(図2)。

図2

患者(主介護者)のソーシャルスタイル別特徴

同様に,医師のソーシャルスタイル別の特徴も仮説的に整理した(図3)。

図3

医師のソーシャルスタイル別特徴

III. リサーチクエスチョンと調査方法

先行研究からは,患者・主介護者との信頼関係構築において,医師としての医学的能力はもちろん,医師に対する患者の感情的側面も重要であることが仮説的に明らかになった。しかし,医師と患者のコミュニケーションについて示唆する研究はなかった。そこで,本研究ではソーシャルスタイル理論に着目し,患者・主介護者から「この医師に最期まで診てほしい」と思われるようになるために,医師に必要なコミュニケーション要件を明らかにする。具体的には,(図2)と(図3)の仮説を検証することになる。

調査の目的は,患者・主介護者のソーシャルスタイル別に,医師に求めるコミュニケーションの特徴を明らかにすることである。調査対象者は,Y診療所の訪問診療を受けており,医師と強固な信頼関係が構築されている患者がいる世帯の中から,ランダムに抽出した15世帯20名の患者と主介護者である。患者本人が独居,もしくは日常生活動作(ADL)が自立しており介護者不在の場合は患者のみに,疾患やADL低下のために患者が回答困難な場合は主介護者のみに調査を行った。なお,患者と主介護者のソーシャルスタイルのタイプ別の判断は,彼らのコミュニケーションスタイルを本研究者が注意深く観察することによって判断した。

調査への参加については,調査対象者の調査への中止や離脱を保障し,調査への参加が自由な意思によることの理解を得た上で同意書に署名いただいた。

調査場所は京都市内にあるそれぞれの患者宅である。

調査は,2018年11月9日から2018年12月22日にかけて行った。

調査方法としては,次の3つの設問を中心にデプスインタビューを行った。①通院歴と印象に残っている医師とその理由。②Y診療所で印象に残っている医師とその理由。③信頼できる医師とその理由。また信頼できると確信したタイミングはいつか,そのきっかけは何か。

各設問の目的を説明する。①信頼する医師と信頼関係構築が困難な医師を明らかにし,特徴を探る。さらに,患者(主介護者)の医師という職業に対する価値観を明らかにする。②Y診療所における信頼する医師と信頼関係構築が困難な医師を明らかにし,特徴を探る。さらに,患者(主介護者)の医師という職業に対する価値観を明らかにする。③医師に対する患者(主介護者)の信頼形成の要因を明らかにする。

調査はその都度,発言内容の検討と分析を行った上で,次の調査を計画する過程を繰り返すグラウンデッドセオリーアプローチ(Strauss & Corbin, 1991)の手法をとった。

また,本研究はY診療所院長の承認を得て行われた。

IV. 分析結果

本研究においては,調査結果データを次の手順で分析した。①患者(主介護者)と,彼らが信頼する医師,信頼関係構築困難な医師のソーシャルスタイルをマッピングした。②患者(主介護者)のソーシャルスタイル別にインタビュー結果を列挙した。③患者(主介護者)のソーシャルスタイルに関係なく共通する,医師に求めるコミュニケーション要素を抽出した。④患者(主介護者)のソーシャルスタイル別に医師という職業に対する価値観の違いを明らかにした。⑤患者(主介護者)のソーシャルスタイル別に共通する医師に求めるコミュニケーション要素を抽出した。

そして,回答者である患者(主介護者)と,彼らが信頼する医師,信頼関係構築困難な医師のソーシャルスタイルを(表1)にまとめた。ソーシャルスタイル別の患者(主介護者)数に対する,それぞれの項目に該当する医師のソーシャルスタイル別人数の比率を計算し,0.50より大きい数値に色付けした。なお,「信頼する医師1」「信頼する医師2」ともに,彼らが最期まで診てもらいたいと思っている医師に変わりはないが,「医師2」に比べて「医師1」の方が患者(主介護者)からの信頼が厚い。

表1

患者(主介護者)のソーシャルスタイルと彼らが信頼する医師,信頼関係構築困難な医師のソーシャルスタイル

(注)AN:アナリティカル,AI:エイミアブル,EX:エクスプレッシブ,DR:ドライバー

V. 結論と今後の研究課題

医師と患者(主介護者)のソーシャルスタイルの特徴は,調査によってすべて検証された。また,医師が患者・主介護者からの信頼を得るには,(1)診療技術,(2)診療思考,(3)ヒューマンコミュニケーションのピラミッドの構築が必要であり,さらに,全体に対して(4)ソーシャルスタイルのマッチングが影響する(図4)。以下で,図4を説明する。

図4

患者・主介護者が信頼できる医師の条件ピラミッド

診療技術の代表は「医療技術」である。つまり,医師に在宅医療に必要な診察や医療処置,処方調整ができる技術が備わっていることである。

次に,診療思考について説明する。第1に「信念」であるが,これは医師が自身の価値観を知り,深く信じていることである。第2は「誠意」である。医師が患者と主介護者に対して献身的であり,彼らから期待に応えてくれると信じられていることである。第3は,「将来を見据えた診療方針」であり,これは,医師が患者の状態悪化時だけでなく,患者の今後の人生を鑑みて診療方針を考えられることである。

それから,ヒューマンコミュニケーションについて説明する。表1より,ソーシャルスタイルの相性が良くなかったとしても,患者(主介護者)と強い信頼関係を築く医師の存在が明らかになった。彼らには「バーサティリティ」の高さがうかがえる。バーサティリティとは,意識的に患者・主介護者のソーシャルスタイルのニーズ(図5)(図6)に合わせてコミュニケーションを調整する医師の能力である。

図5

患者(主介護者)のソーシャルスタイル別,医師という職業に対する価値観の違い

図6

患者(主介護者)のソーシャルスタイル別,医師に求めるコミュニケーション要素

(1)診療技術,(2)診療思考,(3)ヒューマンコミュニケーションの全体に作用する条件が「ソーシャルスタイルのマッチング」である。ここでは表1の組合せの数値が0.50より大きいものに着目して,以下で考察する。

ソーシャルスタイル理論(Bolton & Bolton, 1984; Merrill & Reid, 1999)において,同属のスタイルは相性が良いとされるが,医師と患者(主介護者)の間においても,アナリティカル同士,エクスプレッシブ同士は相性が良いといえる。また図5で明らかになっているように,エイミアブルの患者(主介護者)は,医師という職業に信頼の念を抱いているため,ソーシャルスタイルに関わらずに医師を信頼する傾向がある。

一方で,医師と患者(主介護者)の間において,ドライバー同士の組合せは相性が良いとはいえず,特に注意が必要である。なぜならば,ドライバー同士は医師と患者・主介護が互いに会話の主導権を握ろうとするため,ハレーションが生じる可能性が高いためである。今回の調査では,ドライバーの患者(主介護者)はエクスプレッシブの医師との相性が良い傾向が見られたが,インタビューの中で,彼らはエクスプレッシブの医師の医師らしからぬユーモアな人間性を高く評価していた。

また,ソーシャルスタイル理論において対極の関係にあるエクスプレッシブの患者(主介護者)とアナリティカルの医師の相性は良くない。診療の場では,エクスプレッシブの患者(主介護者)が医師の話を聞かず,診療とは関係のないことを多弁に語る態度に,アナリティカルの医師が計画通りに診療を進められないことに痺れを切らし,高圧的になる場面が度々見受けられた。図5からもわかるように,医師と対等な関係を築きたいと考えているエクスプレッシブの患者(主介護者)は,医師が高圧的になった時点で信頼に値しないと捉えるようである。

さらに,アナリティカルの患者(主介護者)とドライバーの医師の組合せも良いとはいえないことがわかった。アナリティカルの患者(主介護者)は不安が解消できないと決断が下せない。それに対して,ドライバーの医師は医師の権限を前面に打ち出し,次々と決断を下していく。そこで,アナリティカルの患者(主介護者)にとっては,「あの先生は私のことを理解してくれない」と映ってしまうのである。

本研究は,Y診療所の15世帯20名の患者と主介護者を対象にした調査に基づく結論である。結論の有効性をより確かなものにするために,今後は以下の2つの課題に取り組む必要がある。

第1の課題は,調査対象者の拡大である。それはサンプル数の拡大ばかりではない。今後は,調査対象者として,医師と初めて対面することになった患者(主介護者)が,どのようなプロセスを経て「その医師に最期まで診てほしい」と認識するようになるのかについて,本研究の仮説を実証することが重要である。

今後の第2の研究課題は,医師の患者(主介護者)用のコミュニケーション・ハンドブックを制作し,それを様々な診療所の医師に使用してもらい,検証を繰り返すアクションリサーチの必要性がある。

References
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  •  Strauss,  A., &  Corbin,  J. (1991). Basics of qualitative research: Grounded theory procedures and techniques. Thousand Oaks, CA: Sage Publications.
 
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