2019 年 26 巻 1 号 p. 65-
本研究では,購買確率を説明するモデルとID付POSデータから,消費者ごとの価格弾力性を算出する。適用するモデルは,商品別の販売力と,消費者別の購買力という 2 種類の異質性を組み込んだものである。 2 種類の異質性を組み込んだモデルは, 1 種類のみを組み込んだモデルと比べて情報量基準の観点で優れていた。このようにして求めた消費者ごとの価格弾力性は,小売業が価格プロモーションを企画したり,メーカーが小売業に価格プロモーションを提案したりする際に対象とする消費者の絞り込みに利用できる。また,同時に推定された商品パラメータは,値引きの影響を除いた販売力として,商品評価と品ぞろえの検討に利用できる。