抄録
本稿は,テキストにおいて多義語の語義がどのような出現傾向を示すかを『現代日本語書き言葉均衡コーパス』をデータとして調査し,次の結果を得た.(1)多義語がテキスト中で2回以上使われる際,同じ語義で使われることが多い.ただし,例外もあり,必ずしも強い制約ではない.(2)同じ語義で使われる多義語の間の出現間隔は異なる語義で使われる同一の多義語の出現間隔よりも短い.(3)多義語のうちのある語義に対する類義・対義関係を作る語のうち出現間隔が短いものが認められた.これらの現象は語彙的結束性がひとまとまりのテキストに対して働いていることの現れであろうと推測される.