抄録
本研究では,小学校と中学校の理科教科書を対象に,語彙と構文の観点からテキストの複雑さを構成するパラメータを予測し,小・中間でそのパラメータで表現できるギャップがあることを示す.中学校に適応できないいわゆる小・中ギャップは,生活面と学習面から研究されてきたが,教科書等の教材のテキストの相違がもたらすギャップに着目した研究はない.本研究はこの点を背景に,テキストの表現形式に具体的にどのような差があるのかを,小・中ギャップに関連する段階の教科書を対象に明らかにするものである.分析の結果,小・中の教科書には特に係り受け関係の複雑さに顕著な差があることが明らかになった.