計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
特集号: 計量国語学
34 巻, 7 号
大会発表特集/2024 年度テーマ特集 経年変化と計量的言語研究
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
大会発表特集
  • 各種コーパスを用いた“基本”の使用実態調査から
    宮本 華瑠
    原稿種別: 論文A
    2024 年34 巻7 号 p. 465-480
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿はいわゆる同形同義とされてきた日中同形語「基本」と“基本(JIBEN)”を対象とし,各種コーパスを用いてそれぞれの使用実態を調べることにより,両語の真の対応関係を明らかにすることを目的とする.用いるコーパスは北京日本学研究センターの『中日対訳コーパス』,日中対訳文を収録した約500万字規模の自作『日中対訳EGAコーパス』,北京大学の『Center for Chinese Linguistics PKU』,国立国語研究所の『現代日本語書き言葉均衡コーパスBCCWJ』の四つである.調査からは,「基本」と“基本(JIBEN)”にはその意味・用法,特定表現,高頻度用法に差異がみられ,形容詞と副詞として使用される時には意味・用法が一致しているものの,名詞の自立用法として用いられるのは日本語のみであり,特定表現に関しては中国語が圧倒的に多く,高頻度用法に関しては日本語に目立って多く見られるという結果が得られた.
2024 年度テーマ特集 経年変化と計量的言語研究
  • 中俣 尚己
    2024 年34 巻7 号 p. 481
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 北﨑 勇帆
    原稿種別: 招待論文A
    2024 年34 巻7 号 p. 482-497
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,『日本語歴史コーパス』のデータから単語ベクトル(Word2Vec)を作成し,そのベクトルの類似度に基づいて,鎌倉時代成立の高野本『平家物語』と,室町時代の口語訳である天草版『平家物語』のパラレルコーパスを構築した.このパラレルコーパスを用いることで,両本間の対応箇所の対照を比較的簡単に行うことができる.ケーススタディとして,(ⅰ)〈高野本〉の無助詞名詞句に,〈天草版〉ではハ・モ・マデ,ガ・ヲなどの助詞が新たに加えられる傾向にあること,(ⅱ)〈高野本〉の連体形準体句に,〈天草版〉では被修飾名詞が加えられる例が一定数あること,(ⅲ)〈高野本〉の引用助詞のトテが,〈天草版〉では,目的を表す場合を除いて,発話・思考動詞を加える形で訳される傾向にあること,(ⅳ)〈高野本〉では2文で表される複数の事態が,〈天草版〉では複文で表現されやすいことを明らかにした.
  • 雑誌『文藝春秋』を資料として
    菅野 倫匡
    原稿種別: 招待論文A
    2024 年34 巻7 号 p. 498-512
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は文章に占める漢字の割合(漢字含有率)に着眼し,その変遷を示すことによって昭和・平成期における漢字使用の実態について概観するものである.そのために本稿では漢字使用の実態が媒体やジャンルによって異なるとする指摘を踏まえつつ同時期の小説を対象とした調査と並行するようにして雑誌『文藝春秋』を対象とした同様の調査を実施した.その結果,大局的に見れば,漢字含有率は20世紀の中葉までは減少するが,そこからは小幅な変動に留まるという点において雑誌も小説も概ね同様の傾向を示すことが明らかになった.ただし,そもそも小説に比して雑誌は概して漢字が多いことや20世紀の末葉からは以前の水準には及ばないものの微増とも見られることは雑誌における漢字使用の実態が小説におけるそれと異なる可能性を示すものである.
  • 新野 直哉
    原稿種別: 招待論文B
    2024 年34 巻7 号 p. 513-524
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    筆者は,これまで現代日本語における「誤用」として知られるものを中心に,「新語・新用法」の事例について研究成果を発表してきた.このような研究の場合,一度取り上げた事例でも,再度取り上げる必要が出てくるということもある.近年、近過去の用例採集に大きく貢献するような,コーパス・データベース類の新たな公開やデータの増補・更新が相次いでおり,それらを利用して改めて実例調査を行ったところ,以前の拙稿での記述を改めなくてはならなくなるような事例が出てきた.そのうち,本稿では、「誤用」の定番事例“気がおけない”について報告する.
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