本稿はいわゆる同形同義とされてきた日中同形語「基本」と“
基本(JIBEN)”を対象とし,各種コーパスを用いてそれぞれの使用実態を調べることにより,両語の真の対応関係を明らかにすることを目的とする.用いるコーパスは北京日本学研究センターの『中日対訳コーパス』,日中対訳文を収録した約500万字規模の自作『日中対訳EGAコーパス』,北京大学の『Center for Chinese Linguistics PKU』,国立国語研究所の『現代日本語書き言葉均衡コーパスBCCWJ』の四つである.調査からは,「基本」と“
基本(JIBEN)”にはその意味・用法,特定表現,高頻度用法に差異がみられ,形容詞と副詞として使用される時には意味・用法が一致しているものの,名詞の自立用法として用いられるのは日本語のみであり,特定表現に関しては中国語が圧倒的に多く,高頻度用法に関しては日本語に目立って多く見られるという結果が得られた.
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