抄録
100名のブログを対象に,句点前の語(文末語)の使用率に基づく,ブログ筆者の識別を試みた.1名の疑問テキスト(筆者不明を想定),1名の対照テキスト(筆者が既知を想定),全く別人の4名の無関係テキスト内の文末語の使用率に着目して,①主成分分析,②多次元尺度法,③対応分析,④階層的クラスター分析を実施し,それらの分析結果に対して得点を付与し,得点を合算することで分析結果を統合した.実験条件として,疑問・対照テキストの筆者が同一人である筆者組合せ条件「同一人」と両テキストの筆者が異なる筆者組合せ条件「別人」を設定し,上記同様の分析を両条件(各100名)で行い,その200名の得点分布を条件間で比較検討した.その結果によると,文末語の使用率のみで,筆者を識別することが可能な上に,非自立語の使用率や品詞のbigramに次いで,筆者の識別力を有していることが示唆された.