抄録
本稿では,Twitterからの方言語形抽出結果と,全国の高年層を対象に実施した方言調査の結果および全国の大学生を対象に実施した方言アンケート調査結果等との比較を行い,どのような違いがみられるかについて検討を行った.その結果,全国の高年層で使用される方言がTwitter上で忠実に反映されているとは言い難いが,Twitterデータの結果と大学生を対象としたアンケート調査結果とは,概ね一致した.この点で,Twitterデータをことばの地域差を見出すための資料として十分活用できる可能性があることが判明した.Twitterから得られた言語資料は,伝統方言の地域差の解明とまでは必ずしもいかないにしても,若者世代を中心に用いられる新しい方言や表現形式の分布のほか,「気づかない方言」などの地域差を知る手がかりとして,今後,有効活用が期待される.