計量国語学
Online ISSN : 2433-0302
Print ISSN : 0453-4611
2020年度テーマ特集 計量的言語データ分析と日本語教育
主成分分析を用いた副詞の文体分析
中俣 尚己
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 32 巻 7 号 p. 419-435

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抄録
本論文では,日本語学習者にとって困難とされる副詞の文体情報の計量を試みた.日本語教育において基本となる副詞ならびにそれと文体的には異なるが意味が似ている副詞計164語を対象とした.それぞれの副詞をBCCWJで検索,14レジスターにおける調整頻度を算出し,得られたデータに対し,主成分分析を行った.各副詞における2つの主成分の主成分得点により,副詞を分類した. 主成分分析の結果,PC1として「双方向的VS一方向的」の対立軸,PC2として「自己表現的VS公共的」の対立軸が抽出された.これは英語の文体研究と合致する.副詞はこの二軸を用いて「A 自分について表現する副詞」「B 客観的に表現する副詞」「C1 より洗練されたやりとりで使う副詞」「C2 日常的なやりとりで使う基本の副詞」の3種4類に分類される.この分類では,類義の副詞はほぼ異なるグループに属することが確認された.
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© 2020 計量国語学会

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