2023 年 34 巻 1 号 p. 1-16
本稿は日本語非母語話者で卒業論文,学術論文を書く必要がある学生に有用な支援システムを構築する研究の一環である.その一部として,日本語による学術系コーパスから接続表現と文末モダリティの共起関係を考察する.はじめに1文中の接続表現とその文末モダリティの2項目共起の分布を計量的に分析し,次に接続表現の前文にあるモダリティとの関係を3項目共起として同様に分析する.その中で共起尺度の高い組み合わせに注目し,談話分析の視点から観察することで,ジャンルとしての学術論文の談話構造の特徴を示し,学習者コーパスと論文コーパスを比較する.そこにみられる学習者が補うべき談話構造上の問題点を見出し,学術論文のスタイル習得を可能にする論文作成支援を目指す.