日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
心筋 viability 評価に FDG PET-CT が有用であった1例
中島 智博中村 雅則宇塚 武司川原田 修義
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2018 年 47 巻 3 号 p. 123-127

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抄録

症例は48歳,男性.2011年10月頃より労作時の呼吸困難感,体重増加があり近医を受診した.精査にて冠動脈重症3枝病変,低左心機能,僧帽弁閉鎖不全症,冠動脈前下行枝領域の壁運動が無運動であり左心室の拡大を認めた.左室形成術の必要があるか否かを手術前に評価することが必要であった.患者は慢性腎不全により血液透析を導入されていた.心筋viability評価にはガドリニウムを使用した遅延造影MRIが一般的であるが,慢性腎不全患者においてガドリニウム使用により全身性線維症を発症する危険があり禁忌とされており,本症例でも該当した.われわれは心筋viability評価のために,FDG PET-CTを行った.その結果,前下行枝領域には心尖部の極一部を除きviabilityがあると診断された.2012年1月,左室形成を行わず,冠動脈バイパス術5枝による血行再建と僧帽弁輪形成術を行った.術後補助循環を要したが,離脱できその後の経過は良好であった.術後左室造影検査にて左室収縮能は改善し,左室容積は縮小した.本症例においてFDG PET-CTが心筋viability評価に有用であった.文献的考察を踏まえて報告する.

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