抄録
本研究では,『多言語母語の日本語学習者横断コーパス』(I-JAS)を使用して日本語学習者および日本語母語話者による程度副詞「とても」とその類義語の使用実態調査を行った.学習者・母語話者ともに使用が多く確認された「けっこう」,「すごく」,「とても」を対象に,レベル(初級・中級・上級・母語話者)・言語使用場面(タスク4種)・学習環境(国内・海外・母語話者)の3変数を説明変数として実施した分類木分析の結果からは,副詞の使用傾向の違いには学習者のレベルが最も強い影響を与えること,さらに,中級・上級学習者および母語話者は場面によって,初級学習者は学習環境によって副詞の使用傾向が異なることが明らかになった.また,学習者の結果はレベルが高くなるにつれ母語話者の結果に近づくものの,上級レベルに確認された「すごく」の頻用からは,場面によって特定の語の使用は控えるという,使用抑制に関する情報提供の必要性が示唆された.