抄録
2006 年4 月1 日から2008 年1 月31 日までの期間において、松江市立病院(以下、当院)産婦人科外来で妊娠後期のB 群連鎖球菌(以下、GBS)スクリーニング陽性と判明した母体(以下、GBS 陽性母体)19 例の管理方法とその児19 例に関して、管理方法、GBS 伝搬率、出生後の血液検査結果、などについて後方視的に検討を行った。 この期間の当院の全分娩件数は594 件であった。母体の管理はアメリカ疾病防疫センターのプロトコールに従った。児への抗生剤投与は、母体への抗生剤投与の回数、破水の有無などから当院独自のプロトコールを作成して管理にあたった。 GBS 陽性母体19 例への抗生剤投与回数は平均1.68 回(1 ~ 4 回)、前期破水した症例は8 例あり、破水から分娩までの平均経過時間は13.1 時間(1 ~ 29 時間)、児の平均出生週数は39 週(37 ~ 41 週)、児の平均出生体重は2,964g(2,084 ~ 3,284g)であった。児への抗生剤投与は19 例中12 例(63%)に施行され、その中の2 例(11%)に保菌を認めたが、発症した症例はなかった。当院のプロトコールをはずれて、児への不必要な抗生剤投与が施行されたと思われる症例が10 例あった。 今後、産婦人科と密に連絡を取り、母体への抗生剤投与状況、母体の感染徴候の有無などについて詳細な情報を受けた上で、児への不必要な抗生剤投与は極力回避すべきであると考えられた。