松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
転院・施設入所した入院患者の心身の状態と家族状況の調査
吾郷 利宏吾郷 雄二原 敬岡田 多恵子佐伯 泰子
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キーワード: 日常生活自立度, 介護, 退院
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 13 巻 1 号 p. 11-16

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抄録
当院ではMSW に退院相談依頼のある患者の多くは高齢者であり、介護保険サービスの利用に関連する相談である。要介護状態であっても自宅退院する場合と転院や介護保険施設等への入所が必要な場合に分かれ一様ではない。長期的なリハビリが必要であったり、退院後要介護状態で一人暮らし等の為、当院からすぐに自宅退院出来ない患者は、リハビリ病院や療養型病院、介護老人保健施設等への転院・入所することになる。当院から自宅退院出来ない患者は、日常生活を無事に過ごすことには当面何らかの障害を抱える患者である。本調査ではMSW に退院相談依頼のあった患者で、当院からは自宅に帰られず転院・施設入所をした患者の心身の状態と同居の家族状況を調査した。 患者像としては、女性、75 歳以上の患者が多く日常生活自立度が低いこと、家族状況としては就業、病弱等で介護出来る家族がいないことが伺えた。医療処置の有無は関連が少ない可能性がある。自宅退院をするには、患者の日常生活自立度と同居家族がどの程度介護に専念出来るかどうかということが重要であると思われる。介護負担については介護者の時間的管理がどの程度及ぶかで介護負担感が異なることを考察した。この点からトイレ動作の自立度、認知症介護、頻繁かつ時間の定まらない医療処置は負担が大きく自宅退院を阻む要因として注目できる。
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© 2009 松江市立病院
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