松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
当院緩和ケア病棟における非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の処方状況
今井 孝福田 由紀天野 聡子古川 瑞子西垣 俊太若槻 美雪坪内 敦志杉原 修子袖山 盟史嘉本 道子渡辺 正敏
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2009 年 13 巻 1 号 p. 59-61

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抄録

非ステロイド性消炎鎮痛剤(以下NSAIDs と略)は、WHO3 段階除痛ラダーの第1 段階からも使用されるがん性疼痛治療の土台となる薬剤である。そのため医療従事者はNSAIDs を適正かつ有効に使用する必要がある。今回、2006 年10 月1 日から2007 年9 月30 日までの間に当院の緩和ケア病棟に入院した患者102 名を対象にNSAIDs の使用状況を調査した。その結果、対象患者のうちの70.6%にNSAIDs が使用されていた。また、フルルビプロフェンアキセチル注はそのうちの86.1%に単独または内服NSAIDs との併用で使用されていた。また、内服NSAIDs を使用していた患者の36.1%がナブメトンを1600mg- 分2 朝・夕食後にて服用し、23.6%がナプロキセンを300 ~600mg- 分3 食後にて服用していた。ナブメトンは鎮痛作用・抗炎症作用・解熱作用のバランスに優れる点、胃腸障害が少ない点などが多く使用されている原因と考えられた。また、ナプロキセンは腫瘍熱のある症例に対して使用されていた。NSAIDs は今後もがん性疼痛治療の土台となる薬剤である事が予想されるため、定期的に使用量を調査し医療従事者にフィードバックしていく事が、NSAIDs の適正使用において重要であると考えられた。

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