抄録
今回われわれは、非典型的な画像所見を呈する、実質性の症候性第3 脳室コロイド嚢胞を経験したので報告する。症例は38 歳男性。急性進行性の激しい頭痛と嘔吐で発症。MRI では、モンロー孔に腫瘍性病変および閉塞性水頭症を認めた。腫瘍はT1 強調画像では高信号であったが、T2 強調画像では概ね低信号であった。小開頭による定位的顕微鏡下に腫瘍摘出術を施行した。術中所見では嚢胞の内容物はほとんどが顆粒状の組織塊すなわちムチン塊であると思われた。組織診断はコロイド嚢胞であった。術後3 か月のMRI 上、腫瘍は痕跡的となった。この症例に関して、若干の文献的考察を加え報告する。