松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
当院小児科で経験したマイコプラズマ肺炎症例の検討
花田 卓也岡本 学辻 靖博田中 雄二
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2013 年 17 巻 1 号 p. 63-66

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抄録

2011 年9 月から2012 年1 月までの5 か月間に当院小児科にてマイコプラズマ肺炎と診断した21例の臨床所見,血液検査,胸部単純レントゲン検査,治療を後方視的に検討した.年齢は5 歳から15 歳(平均9.2 歳)だった.血液検査では白血球数が10,000 万/ l 未満だが,核の左方移動を示す例が多かった.マイコプラズマIgM 迅速検査は発症から6 日から8 日経過しても陰性の例が少なからず存在し,急性期のマイコプラズマ感染症の診断方法としては信頼性に乏しいと考えられた.マクロライド系抗菌薬投与から2-3 日後に症状の改善がなかった例が17 例中16 例(94%)を占め,多くの肺炎マイコプラズマがマクロライド耐性となっている可能性が示唆された.マクロライド系抗菌薬に不応だった16 例をミノサイクリン(MINO)もしくはトスフロキサシン(TFLX)に変更したところ,16 例全例(100%)が48 時間以内に解熱し,すみやかに咳嗽が減少した.マイコプラズマ肺炎は非定型肺炎の重要な起炎菌でまれに重症化することがあり,早期からの適切な診断ならびに抗菌薬使用が重要と考えられた.

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