抄録
松江市立病院の女性職員を対象として乳がん検診に関するアンケート調査を行い,医療機関で働く職員の乳がん検診受診率向上に向けての検討を行った.調査期間は平成24 年10 月1 日から平成24 年10 月19 日に行い,対象者529 名に対して471 名(有効回答469 名,白紙及び無効回答2 名)の回答を得た(回答率88.7%).乳がん検診を受診したことがあるのは40.1%であり,そのうち定期的に受診しているのは40.4%であった.受診のきっかけについては「年齢的に必要性を感じた」が最も多かった.一方,受診しない理由としては「きっかけがない」が一番多かった.乳がん検診受診率と自己検診の関係を見ると,自己検診を行う群の方が乳がん検診受診率は高かった(p<0.05).今回のアンケート調査より,住民検診は時間や受診日などに制限があり,働く女性には受診し難い現状であるため,職域検診に組み込むことで受診しやすい環境になるのではないかという意見も多く寄せられた.また,当院の女性職員の60.8%が10 代から30 代であることから,若年層に対する乳がん検診の実施方法などの検討が必要である.今回の調査より,職域検診が乳がん検診受診機会の一つになれば乳がん検診受診率の向上につながるのではないかと示唆された.そのためには,乳がん検診を受診しやすい環境の整備も必要であると考えられた.