松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
糖尿病教育入院における運動療法の現状と理学療法士の役割
森山 修治徳田 佳生佐々木 基史多田 裕子
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 18 巻 1 号 p. 41-46

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抄録
当院の糖尿病教育入院における運動療法は理学療法士が担当している.これまで行った指導内容の振り返りを行い,現状と課題を検討した.対象は平成24 年度に教育入院で運動療法を指導した54 名で,電子カルテの運動療法指導記録から運動習慣の有無,内容、運動しない理由,個別指導内容を調査した.その結果,「運動習慣なし」は54 名中39 名で,運動しない理由は「特になし」が15 名と多く,「疼痛」が14 名,「多忙」が5名であった.「運動習慣あり」の割合に男女間,年齢群間での有意差はなかった.個別指導は54 名中29 名に実施されていたが,特に理由なく運動習慣のない15 名には実施が5 名と少なかった.今回の検討から,参加者の多くはまだ運動意欲の低い状態であり,行動医学における行動変化ステージに当てはめると,前熟考期から熟考期に相当するものが多数と思われた.従って画一的で一方的に知識を伝える講義では,運動習慣の定着は難しく,参加者の心理状態に応じた指導の工夫と関連スタッフとの連携強化が必要と考えられた.
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