松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
検診の上部消化管X 線造影検査後にバリウムイレウスをきたし外科手術を要した1 例
上田 直樹杉原 誉明谷村 隆志村脇 義之三浦 将彦河野 通盛吉村 禎二山田 稔大谷  裕梶谷 真司
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2014 年 18 巻 1 号 p. 57-62

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抄録
症例は63 歳女性.胃がん検診目的で他施設でバリウムによる上部消化管X 線造影検査を施行された.検査2 日後,突然下腹部痛を自覚したため当院救急外来受診を受診した.腹部単純X 線検査や腹部単純CT 検査を行い,バリウム糞石による消化管閉塞と診断し,緊急下部消化管内視鏡検査を施行した.バリウム糞石は破砕・溶解し閉塞は解除されたが,S 状結腸の病変部筋層が露出した状態で,処置後も激しい腹部痛が持続したため,消化管穿孔の可能性が高いと判断して緊急開腹手術を施行した.バリウムによる穿孔性腹膜炎を発症すると重篤化すると言われており,今回我々は穿孔を未然に防ぐ形で手術に踏み切ることのできた症例を経験した.バリウムイレウスは報告例も少なく貴重な経験であり,文献的考察を加え報告した.
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© 2014 松江市立病院
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