抄録
症例は6 歳の女児.嘔吐と腹痛を主訴に近医を受診.整腸剤,抗菌薬投与に反応せず,タール便を認めたため,6 日後に当科紹介となった.右側腹部から下腹部に圧痛があり,下眼瞼に小さな紫斑様の皮疹をわずかに数ヶ認めた.血液検査では,低蛋白血症,D ダイマー,FDP の上昇,血漿第ⅩⅢ因子活性の低下を認めた.腹部超音波検査およびCT 検査では小腸の壁肥厚と腸液貯留を認めた.明らかな紫斑は無かったが,Henoch-Schönlein 紫斑病(以下HSP)を強く疑いステロイド投与を開始した.腹痛は一旦改善したが再燃し,眼瞼の紫斑様皮疹も増加を認め,眼瞼浮腫も出現した.ステロイドを徐々に増量し,腹部症状は消失,皮疹も消退した.ステロイドを漸減しても再増悪なく,第20 病日に退院となった.紫斑の出現が遅れたり,紫斑が出現しないHSP も報告されており,小児の腹痛や消化管出血ではHSP の可能性を念頭に置く必要がある.