抄録
症例は44 歳,男性.嘔吐後に急激な心窩部痛の出現があり救急搬送された.CT 検査で下部食道を中心とした縦隔気腫像,食道造影で下部食道より縦隔内へ造影剤が漏出する所見を認め,特発性食道破裂と診断した.搬送から約3 時間後に緊急手術を施行し,胸部下部食道後壁に約2 cm 大の穿孔を確認し,同部を縫合閉鎖した.術後は順調に経過し,第27 病日に退院した.特発性食道破裂の早期診断の為には,嘔気・嘔吐を契機とした胸背部・心窩部の激痛の病歴から,本症の可能性を積極的に疑い,速やかに画像検索を行うことが重要である.