松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
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両側多発性乳腺線維腺腫の一例
内田 尚孝松井 泰樹野津 長吉田 学
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2015 年 19 巻 1 号 p. 79-82

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抄録
乳腺線維腺腫は頻度の多い疾患であるものの,両側の多発性乳腺線維腺腫の報告例はまれである.症例は,22 歳女性.右乳房腫瘤を主訴に,近医から当科へ紹介となった.視触診では,右乳房C領域に6 cm 大1 個,両側乳房に1 cm 大数個の腫瘤を触知した.マンモグラフィ検査では,右乳房にカテゴリー3 の腫瘤影を認めた.超音波検査では,複数の境界明瞭・内部エコー低の腫瘤を認めた.最大径を有する腫瘤に対して針生検を実施した結果,線維腺腫であった.右乳房C 領域の腫瘤は,巨大で乳房の変形を伴い本人の摘出希望があったことから,当該腫瘤の摘出術を実施した.摘出標本の病理所見は,線維腺腫であった.両側多発性乳腺線維腺腫に対する治療方針については,一定の見解はえられていない.多発性の場合,全病変の細胞診または組織診の実施は困難であること,線維腺腫が悪性化することは極めてまれであること,年齢とともに線維腺腫が消退することもあることから,3 cm を超える病変または大きさが3 cm 以下でも患者の年齢が40 歳以上で針生検でも確定診断が得られない病変を除き,原則として経過観察でよいと考えられる.
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