松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
内頸動脈閉塞をきたした深頸部感染症の1例
松田 英賢長谷川 賢作
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ジャーナル オープンアクセス

1998 年 2 巻 1 号 p. 49-52

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抄録
副咽頭問隙に炎症がおよんだ扁桃周囲膿瘍に対して扁桃周囲膿瘍切開術を行った。その後、切開部位から反復する咽頭出血を来たし、止血困難なため、外頸動脈結紫術を行った。外頸動脈結紫後約2カ月で、患側のホルネル症状が出現し、画像診断により内頸動脈の閉塞が確認された。神経脱落症状や脳梗塞はなかった。Willis動脈輪が形成されていたため 、健側の内頸動脈や椎骨脳底動脈からのcross circulation により、脳への血流が保たれたものと考えられた。内頸動脈閉塞は、動脈周囲の炎症が中膜や内膜におよんで徐々に血栓を形成し、さらに血栓や外頸動脈結紫による血流の乱れが血栓の付着を誘発して起こったものと考えた。
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© 1998 松江市立病院
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