抄録
自損行為の実態を明らかにするため,松江市立病院救急外来における自損行為受診者について分析を行い,時間外選定療養費増額前後の受診動向についても検討を行った.自損行為受診者は若年層及び女性が多く,世界的傾向と同様であった.若年層では外来対応可能な場合が多く,非若年層では入院対応となるケースが多かった.自損行為によって入院が必要なケースでは感情障害の割合が多かった.時間外選定療養費増額によって自損行為の受診者数は減少傾向となり,特にリストカット等の自傷行為,衝動行為による外傷の減少が明らかとなった.自損行為の受診者数は減少傾向にあるが,実際に自損行為が減少しているのか,病院受診を控えるようになったためなのか,今後更なる検証が必要と考えられる.