抄録
症例は67 歳女性.腹痛と便秘を主訴に紹介された.CT 所見にて滑脱型の巨大食道裂孔ヘルニアと診断.血行障害はないと判断し,PCI 後の抗凝固療法中であったことから,ヘパリン化の後に開腹によりToupet 噴門形成,食道裂孔縫縮,メッシュによる補強手術を行った.術後早期に縦隔膿瘍を生じたが,軽快し術後6 日目に経口摂取開始した.術後23 日目に横隔膜下膿瘍と縦隔膿瘍を生じ,CT ガイド下ドレナージを行ったが軽快せず,その後の検査で上部消化管穿孔と診断.術後45 日目に再開腹手術を行った.再手術ではメッシュによる腹部食道穿孔と横隔膜下膿瘍,縦隔膿瘍が認められ,メッシュ除去と食道穿孔部T チューブドレナージを行った.再手術後治癒退院した.近年食道裂孔ヘルニアに対する手術としては噴門形成と食道裂孔縫縮に加えてメッシュによる補強が推奨されているが,鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニア根治術後に散見されるようなメッシュによる消化管穿孔が,本疾患の術後にも起こりうることに留意する必要があると考えられた.