2017 年 21 巻 1 号 p. 57-61
症例は80 歳女性.労作時の胸部圧迫感を主訴に受診.心臓カテーテル検査では冠動脈に有意狭窄は認められなかったが,前下行枝・右冠動脈の近位部から冠動脈肺動脈瘻が認められ,前下行枝から分岐する異常血管には瘤を合併していた.薬剤負荷タリウム心筋シンチグラフィーでは前下行枝領域に虚血所見が認められたため,前下行枝から分岐する異常血管にコイル塞栓術を行った.本症例は16 年前に実施された心臓カテーテル検査で冠動脈肺動脈瘻を指摘されたが明らかな瘤は認められなかった.10 年前に他科で実施された胸部単純CT で16 mm の瘤を認めていたが,今回入院時には26 mm と拡大しており,最近の10 年では年間約1 mm の速度で拡大していた.