松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
β遮断薬投与中急性心筋梗塞患者の心臓リハビリテーションにおける至適心拍数の決定方法:Karvonen の式からの検討
杉原 辰哉萩原 文香門永 陽子鳥谷 悟松浦 佑哉井原 伸弥黒崎 智之森山 修治上田 正樹森脇 陽子広江 貴美子古志野 海人山口 直人大嶋 丈史岡田 清治太田 哲郎
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2019 年 22 巻 1 号 p. 53-56

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抄録

【目的】心肺運動負荷試験(CPX)のAT レベルの心拍数(THRAT)での運動処方が困難な場合はKarvonen の式から得られる心拍数(THRkarvonen)を参考に実施するが, 心不全やβ遮断薬投与例では必ずしも適切な決定ができない.本研究はβ遮断薬投与中の急性心筋梗塞患者を対象にATHRとKarvonen 式の関係を検討し,適切な心拍数を求めることを目的とした.【方法】対象はβ遮断薬投与中の急性心筋梗塞患者20 例,年齢62.7±8.2 歳.a(220-年齢)を最大HR とし,係数a は実際にCPX で得られた実測最大HR からa =実測最大HR/(220-年齢)を求め,また,Karvonen の式から運動強度の係数k =(THRAT-安静時HR)/(最大HR-安静時HR)として求め,係数k と臨床的指標の関係について検討した.【結果】CPX から求めた係数a は0.72±0.09,係数k は0.42±0.13,THRmodified Karvonen = 0.42[0.72(220-年齢)-安静時HR]+安静時HR で,THRAT とTHRmodifiedKarvonen の相関関係はr=0.84(p < 0.01)であった.係数k と臨床的指標の関係は心リハ開始日数とLVEF に関連性が認められTHRclinical =(0.005×LVEF-0.015×心リハ開始まで+0.312)[0.72(220-年齢)-安静時HR]+安静時HR とすると,THRAT との相関関係はr=0.88(p < 0.01)であった.【結語】β遮断薬投与中の急性心筋梗塞患者はTHRmodified Karvonen = 0.42[0.72(220-年齢)-安静時HR]+安静時HR で求められ,係数k はLVEF と心リハ開始日数と関連して変化する可能性が示された.

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