抄録
【目的】当院・循環器内科に入院した心不全患者の栄養状態を評価し,看護師介入の必要性を検討すること.【方法】2015 年3 月~ 2015 年12 月に心不全で入院した患者79 名(年齢84.1±10.6 歳)を対象患者とした.入院時と退院時のアルブミン,ヘモグロビン,BMI,NST 介入,BNP,NYHA,体重,入院日数を比較し,Pearson の相関分析を行った.アルブミン3 g/dl,ヘモグロビン10 g/dl で4 群に分けクロス集計を行った.入院時と退院時のアルブミン,ヘモグロビン,BMI の平均値に差があるかを検討し,また,入院時に栄養評価のため看護師が記入する主観的包括的評価シートの集計を行った.【結果】入院時はアルブミンが3.39±0.60 g/dl,ヘモグロビンは10.84±2.28 g/dl,BMIは21.34±3.99 kg/m であった.入院時と退院時の各項目間で強い相関関係は認めなかった.入院時と退院時の差の平均値は,4 群全てでアルブミンとBMI が有意に低下したが,ヘモグロビンの変化には有意差を認めなかった.一方,主観的包括的評価シートの総合評価では看護師が対象患者の53 % を軽度栄養不良と中等度栄養不良と評価していた.【考察】当院に入院する心不全患者は高齢で重症心不全の患者が多く,入院時の採血データでは栄養状態良好な患者でも看護師の主観的包括的評価では栄養不良と判断される患者があり,また,患者の多くは入院中にアルブミンやヘモグロビンの値が低下しており,特に高齢で寝たきり度が高く認知機能が低下している患者は低栄養状態になる可能性が考えられた.【結語】血液データのみでなく看護師の主観的包括的評価を早期に行い,継続的な栄養評価と積極的な栄養への介入が必要である.