2018 年 2018 巻 69 号 p. 72-76
リンゴ褐斑病の発生に関与するリスク要因を明らかにするため,過去19年間(1998~2016年)に岩手県内の31~43園地(延べ677園地)で7月後半~10月後半に行った巡回調査データおよびアメダス気象データを用い,夏期の早期発生(7月後半~8月後半の発生)および秋期発生(9月後半の発病樹率50%以上)の有無を従属変数,各要因を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った.その結果,夏期の早期発生は,前年秋期の発生および推定感染開始時期の早期化との関連が認められた.秋期発生と関連が認められた要因は,夏期の早期発生,7月の平均気温,7~8月の降雨日数(日降水量10 mm以上)であり,そのオッズ比から夏期の早期発生が最も関連性が強いと考えられた.