松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
Print ISSN : 1343-0866
当院における全病棟を対象とした簡易懸濁法の導入及び周知への取り組み
熱田 侑大田中 あや野白 有里子周藤 真実宇野 慶子今井 孝酒井 牧子河野 通盛
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2019 年 23 巻 1 号 p. 30-37

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抄録
簡易懸濁法は経管投与や嚥下困難患者への薬物投与時に欠かせない方法である.当院では2013年に簡易懸濁法のプロトコールを作成し,経管投与の多い神経内科,脳神経外科の病棟に限定して導入した.その後,導入していない病棟でも徐々に行われるようになったが,粉砕に適さない薬も含めて全ての薬を砕いて投与するなど適切な簡易懸濁法が実施されないこともあった.そこで,統一した方法と正しい知識で簡易懸濁を行ってもらうために看護師を対象とした勉強会を開催し,簡易懸濁可否表,簡易懸濁法のプロトコールの改訂を行った.また,上記介入の前後で全病棟看護師を対象としたアンケート調査,簡易懸濁の処方せん枚数の調査を行った.介入の結果,看護師の簡易懸濁に関する知識を問う項目のうち「簡易懸濁で投与してはいけない薬剤があることを知っているか」,「院内処方せんに記載されている簡易懸濁可否の記号の意味を知っているか」の2 項目を理解している割合が有意に増加し,簡易懸濁投与時に困っている事があると解答した割合が有意に減少した.また,簡易懸濁処方せんの枚数は大きく増加した.これらの結果から簡易懸濁のスムーズな導入にプロトコールの作成,勉強会の開催が有用であったと考えられた.
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© 2019 松江市立病院
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