松江市立病院医学雑誌
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Print ISSN : 1343-0866
呼吸困難に対してヒドロモルフォン経口投与が奏効した1 例
大川 雅世安部 睦美岩下 智之中右 礼子
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2019 年 23 巻 1 号 p. 61-63

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抄録
緩和ケア領域において呼吸困難に対する薬物療法の第一選択はモルヒネである.ヒドロモルフォン(hydromorphone: HM)は2017 年3 月に初めて国内承認されたオピオイドであり,モルヒネ同様の特性を持つことから,呼吸困難の緩和に有効であることが予測される.HM は海外では長年の使用実績があり,呼吸困難に対する有効性を示した臨床報告も多い.今回,呼吸困難を呈した担癌患者に使用し,症状の改善を認めた症例を経験したので報告する.症例は82 歳,男性.他院で多発肝細胞癌および肺転移,骨転移と診断された.同月に当院消化器内科に紹介,併せて緩和ケアチームの介入を行った.疼痛マネジメントとして,トラマドール,セレコキシブを使用した.3 ヵ月後から呼吸困難が出現.精査を行い,急性肺炎と癌性リンパ管症と診断された.疼痛コントロールは良好であったが,呼吸困難が遷延するためにトラマドールからHM にオピオイドスイッチングを行い,以後,呼吸困難は軽減し,歩行中にも息切れを自覚しないまでの改善を認めた.HM は有効性が期待されるが,国内承認されてからまだ日が浅く,今後さらなる呼吸困難への有効性の検証が望まれる.
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