2020 年 24 巻 1 号 p. 26-32
2015年に各施設での被ばく線量最適化を目的として,医療被ばく研究情報ネットワークは全国的な調査を行い,その75パーセンタイル値を診断参考レベルとして発表した.2020年にはその改訂版が発表され,腹部computed tomography(CT)検査の診断参考レベルはvolume computed tomography dose index(CTDIvol)が20mGyから18mGyに減少し,各施設での被ばく低減への取り組みが顕著に反映された結果となった. 当院の320列CTには,ディープラーニングを応用したdeep learning reconstruction(DLR)が搭載されており,そのノイズ低減効果から被ばく低減が期待される.しかし,その画質特性を詳細に検討した上で臨床に導入することは極めて重要である. そこで,腹部CT検査を想定し,2019年に発表されたCT画像評価レポートに基づいて最新の再構成技術によるCT画像を評価した. その結果,DLRを応用した再構成技術は高い空間分解能とノイズ低減効果が認められ,1/3線量まで被ばく低減が可能であることが明らかになった.